開院5年を迎えて思うこと
三田で医療活動に携わり、5年が経ちました。この間、地域のかかりつけ医として中核病院や基幹病院との病診連携を強化し、健診事業や学校保健にも携わりました。
日々の診察では、皆さまから受けた数々の質問をもとに、私自身がお答えしたかったこと、目の病気を考える上で気をつけて欲しいポイント等を時事問題として、そのつどタウン誌の医療コーナーを通じて発信してきました。限られた文字数であり、詳しいことまで説明できませんが、隔月で記事を書いていますので、少しでもお役に立てていただけるならば幸いです。
それから、本年1月1日、当院は厚生労働省の先進医療施設の認定を受けました。
眼科の先進医療施設とは、多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を行う施設です。
当院で白内障手術を受ける患者さまには、少しでも術後視力に満足していただけるよう心を砕いております。
とくに最新の多焦点眼内レンズは確実に進歩していますので、左右眼に特性の違う多焦点眼内レンズを移植して、限りなく術後メガネをかけなくてもよい状態を作り出せるのではないかと思います。また、すでに白内障手術を終えられた方でも、経年の変化で乱視が生じて見にくくなった方、眼内レンズ入れ替えを希望される方が時々おられますので、可能な限り積極的に対応させていただいております。
眼科医になって20年経ちましたが、白内障手術が、時代と共に変わっていくことを実感しています。
一方、緑内障やアレルギー性結膜炎、ドライアイといった慢性疾患では、点眼アドヒアランスが問題になっています。点眼アドヒアランスが悪いとは、医師の診察を受けて自分の病気にはこの点眼薬が必要だとわかっていても、何か症状がないと毎日欠かさず点眼することが出来ず、継続した治療が出来ないことを意味します。それでは病気は悪くなる一方です。その人が病気になるかどうかは、個人の体質と生活する環境が影響しあって決まるのですが、生活習慣病は、おもに生活する環境が原因で起こる病気であり、環境因子を改善しながら、投薬を続けなければなりません。
アレルギー性結膜炎やドライアイは、ありふれた生活習慣病ですが、幼児、学童を含めた若年者にも広く発症し、年余にわたり疾患が続くことになるため、安易な対症療法で、自覚症状がなくなれば点眼を止めてしまうのではなく、免疫反応を意識した必要かつ十分な投薬が長期間行われなければなりません。子供たちと保護者には、こういうことをしっかり伝えるようにしています。
最後になりましたが、あたらしい眼科手術や治療の考え方は、これからも臆することなく取り入れ、
地域の有用な医療機関として当院を導いていきたいと考えております。
今後ともよろしくお願い申し上げます。